2023年1月の健康便り —メンタル—

就職活動であたる壁

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 大学3年生の川島麻衣さんが、疲れ切った様子で健康管理センターにやってきました。そして苦しそうな声で、目に涙を浮かべながら相談室のキムラさんに訴えます。
「もうどうしたらいいのかわからない。就活のことを考えると不安で仕方なくて眠れないです。企業エントリーが3月から始まるのにまだ自己分析や企業研究が完全には終わっていない。もう気持ちばかり焦って、何から手をつければいいのかわからないんです…」キムラさんは、川島さんの肩にそっと手を置き、椅子に座るように促しました。

 川島さんは昨年5月から就職活動の準備を始め、学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)や好きなこと、やりたいことを掘り下げ、自分の人柄や強みがアピールできるように自己分析をしたそうです。夏休みには関心ある業界数社のサマーインターンに、秋にもインターンシップに参加しています。しかし就活を進めていく中で、どの業界にエントリーするか絞り込めず、自分にどんな仕事が向いているのかわからなくなってしまいました。「自分は何が好きなのか、得意なのか、何に価値を感じているのか…」と川島さんは深いため息をつきました。

 話を聴いたキムラさんは、業界を3つに絞ってみること、どんな仕事が向いているかの客観的視点として「自己診断ツール」を利用すること、家族や友人に自分の性格や長所・短所、印象を聞き取って「他己分析」することを勧めました。「“好きなこと”は義務でなくても情熱を注げるもの、“得意なこと”は努力しなくても他人から褒められるもの、“価値を感じていること”は果たすことに大きな意味があると思っているもの。これを基準にしてみたらどうでしょう」と提案しました。

では、好き、得意、価値観から、どのように業界を絞るのでしょうか。例えば…、

“好きなこと”
  • →音楽→楽器演奏→表現→クリエイティブな業界
“得意なこと”
  • →人を笑わせる→エンターテイメント業界
  • →人に教える→教育業界
“価値を感じること”
  • →ボランティア→社会貢献できる業界
  • →世界の貧困への関心→貧富の格差の解決に携われる業界

 「こんな感じならできそうです。難しく考えなくていいのですね。焦らずもう一度やってみようと思います」と、川島さんはホッとした様子になりました。再度自己分析を行い、業界を絞ってみると力強く言い、相談室を後にしました。