2023年5月の健康便り —健康—

気胸になったら気をつけること

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 大学3年生の鈴木陸さんは、この春に気胸と診断され入院しました。胸にチューブを入れる治療をした後、無事退院できることになりました。医師からは「一度穴がふさがってもまた再発する場合もあるから気をつけて生活するように」と言われました。でも、なにをどの様に気をつけたらいいのかわかりません。心配になって、健康管理センターの看護師モモセさんに相談することにしました。

 気胸とは、肺と胸壁の間にある空間に空気がたまる状態です。肋骨に囲まれている肺は、肺の外に空気があると外側に膨らむことができず、空気に押されて肺が広がらないため呼吸がしにくくなります。最も多い自然気胸は、ブラと呼ばれる空気の入った袋が破けて肺の表面に穴が開き、空気が漏れる状態です。20歳代前後のやせ型の男性に起こりやすく、突然胸が痛む、息苦しさを感じるといった症状と、レントゲンやCTなどで診断されます。空気の漏れは自然に止まることが多いですが、漏れ続けると空気で肺や心臓が圧迫され、症状が起こります。
 軽度であれば安静にするだけで症状は改善します。たまっている空気が多い場合は胸の外からチューブを入れて空気を抜いたり、空気の漏れが止まらないときは薬を注入したり、手術で穴をふさいだりする治療を行います。
 自然気胸は治療により症状が改善した後も、再発の可能性があります。病状が安定していない場合、運動することで肺から空気が漏れて肺がしぼむ可能性があるため、治療後一定期間は激しい運動を避けるなどの配慮が必要な場合もあります。他にも、飛行機や登山など急な外気圧の変化が生じる行動には注意が必要です。スキューバダイビングは原則禁止です。喫煙習慣のある場合は禁煙しましょう。気胸の程度やその他の持病の有無などによって気をつける内容が異なるため、主治医に確認してください。

 「気胸は努力で再発を予防できるわけではないから、普段通り生活をしながら様子を見ましょうね」とモモセさんは言いました。「医師からも今まで通りスポーツは続けて良いと言われました。でも、少し息苦しさを感じるようなことがあったら休もうと思います。またあの時にみたいに胸が苦しくなったらと思うと不安ですが、気にしすぎずに生活してみて、心配なことは次の受診時に医師に聞いてみます」と前向きな表情になった鈴木さんでした。