2023年5月の健康便り —メンタル—

相談室を利用してみよう

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 新緑の季節。キャンパス内のハナミズキも見ごろを迎えましたが、大学1年生の山中信二さんの気分はすぐれません。体調が特別に悪いわけではないのに、入学して3週間程たった頃から、なんとなくやる気が出ない日が続いています。
 山中さんはこれまで家族と共に他県で暮らしていましたが、入学に合わせて大学の近くで一人暮らしを始めました。親元を離れての生活は山中さんにとって念願でした。でも炊事や洗濯などを自分で行わなければならず、学業との両立は想像していたよりも大変です。誰かと話したいときもありますが、もともと内気なところがある山中さんは大学内で友達をつくることができていません。

 ある日、山中さんは掲示板に貼られた健康管理センター相談室のポスターを目にしました。「気分の不調くらい誰にでもある」と考えていた山中さんですが、ポスターに書かれいた相談例や「どこに相談したらよいのかわからない場合も、まずは相談室をお気軽にご利用ください」という言葉に背中を押され、面談を予約してみることにしました。
 面談当日、相談室のキムラさんは、予約時間ちょうどに到着した山中さんを優しく迎え入れました。そして、「たいしたことではないのだけれど」と少し恐縮したように話す山中さんに、入学や引っ越しなどが心身に与える影響について穏やかに伝えます。「新しい生活がスタートすると、知らず知らずに緊張やストレスを抱えてしまうことがあります。そうすると、環境に慣れず疲れやすくなり、身体のだるさや不眠・食欲不振といった症状が表れる人も少なくありません。物事を悲観的に捉え、意欲が減退することもあるのですよ」山中さんは、いくつかの事柄が自分に当てはまっていることに気づきました。
 「不安や心配なことに直面しても、何とかなるさと気を楽にして構えることも大切かもしれません。緊張やストレスを無理に取り除こうとするのではなく、上手な付き合い方を探してみてはどうでしょう」とキムラさんは言い、趣味や好きなことはないかとたずねました。山中さんは「絵を描くことが好きですが、入学してからは忙しくて描いていませんでした。次の休みは写生に出かけてみようかな」と明るく答え、「ありがとうございました」と言って相談室を後にしました。キムラさんは「いつでも来てくださいね」とにこやかに山中さんを見送りました。