2023年6月の健康便り —健康—

梅雨時の体調管理~気象病や熱中症に注意~

イメージ

 中村さくらさんは、この春から大学に進学した1年生です。新生活にも慣れてきましたが、毎年梅雨時期になると体調を崩すのが悩みでした。雨が降っている日よりも降る前にめまいや頭痛が起こるので、せっかくの梅雨の晴れ間も部屋で寝て過ごすことになり、気分まで落ち込みます。授業を休んだことを先生からさぼりと思われるのも心配で、健康管理センターの看護師モモセさんに相談してみました。

 「気象病」という言葉を耳にしたことはありますか。正式な病名ではありませんが、天候の急激な変化や朝晩の気温差が激しい季節の変わり目など、気圧が大きく変わるときに出るめまいや吐き気、頭痛などの症状をいいます。他にも、肩や首のこり、倦怠感、関節痛、手足のしびれ、動悸、気分が落ち込む、不安になる、鼻水や喘息といったアレルギー症状など、様々な症状があります。
 気象病は、耳の中の内耳が気圧で影響を受けたり、自律神経が乱れたりすることで起こります。乗り物に酔いやすい人は内耳が敏感なので気圧の変化にも弱い傾向があります。予防のためには、睡眠や食事、運動に気を付けた規則正しい生活を送ることが大切です。また、耳のマッサージや首のストレッチも効果的です。それでも改善しない場合は、受診して医師に相談しましょう。受診する科は症状に合わせて選びます。めまいなら耳鼻咽喉科、頭痛なら頭痛外来、関節痛なら整形外科への受診をお勧めします。
 症状が出る前の予防薬の内服で症状が改善することもあります。毎日の天候と症状を記録しておくと自分の体調が把握できるようになり、受診の際も役立ちます。気圧の変化を教えてくれるスマートフォンアプリケーションもあるので上手に活用しましょう。

 梅雨の晴れ間や梅雨明けの蒸し暑い時期は、熱中症にも注意が必要です。体が暑さに慣れておらず汗をかきにくい、湿度が高くて汗を発散できないために熱中症になりやすいのです。そのため、気温の高さだけでなく、湿度にも気を付けてエアコンや除湿機を利用しましょう。また、脱ぎ着しやすい服装の工夫もお勧めです。喉の渇きを感じる前に、こまめに水分補給しましょう。

 「この時期は同じ様な症状で健康管理センターを訪ねてくる人が多いのよ。私からも気象病について学校にお知らせして、教員にも理解してもらえるようにするわね。ちなみに、耳のマッサージは少し痛いくらいやるのが効果的よ」とモモセさんは言いました。
 中村さんは耳のマッサージをしながら「耳を回すだけでもほぐれてぽかぽかしますね。こんな症状が自分だけじゃないってわかって気持ちが楽になりました。これからはお休みの連絡の時にも気圧で体調が悪くなることもあると自信をもって説明できます」と、明るい顔で言いました。