2023年7月の健康便り —健康—

心肺蘇生とAED~いざという時に慌てず対応するために~

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 大学2年生の石川真弓さんは、先日初めて心停止現場に遭遇しました。大学の教授が授業中に倒れたのです。健康管理センターに走る人、胸骨圧迫を始めようとする人がいる中、石川さんは「AEDを持ってきて」と頼まれました。でも、それがどんなものなのか、どこにあるのかもわかりません。その場から動けないでいる間に、別の人がAEDを持ってきてテキパキと対応し、救急車が到着すると教授は搬送されていきました。何もできなかった自分を悔しく思った石川さんは、健康管理センター看護師のモモセさんを訪ねました。

 突然心停止する原因の多くは、心室細動と呼ばれる重篤な不整脈です。心室細動になると心臓は震えるのみで血液を送り出せなくなります。脳への血流が途絶えると数秒で意識を失い、数分で脳をはじめとした全身の細胞が死に至ります。119番通報してから救急車が到着するまでの平均時間は、令和3年全国平均で約9.4分(総務省)。救命には周りの人の迅速な胸骨圧迫とAED(自動体外式除細動器)による電気ショックが必要なのです。 
 AEDとは、心室細動を止めて正しい心臓のリズムに戻す医療機器です。音声ガイドに従って操作するだけで、だれでも使うことができます。人が倒れて意識がない時は、周囲の人と手分けして対応することが大切です。119番通報、呼吸がなければ胸骨圧迫、AEDを持ってくる人、使う人に分かれます。AEDは大学の中でどういった場所に設置されているのかを普段から意識しておくとよいでしょう。建物の出入り口やエレベーターホールなど多くの人が集まる場所や、スポーツ時に心停止を起こす確率が高いので、体育館やグラウンド近くにも設置されています。他にも、健康管理センター、警備室、防災センターなどに設置されていることが多いようです。AED設置場所は大学のホームページに載っている場合もあるので、調べて実際の場所を見ておくのもよいでしょう。

 「いざという時には誰でも慌てるものよ。完璧にしようと思わなくていいから、周りの人と協力してできることをやってみましょう。救急救命の方法を知るために救命講習を受講するのもいいし、総務省消防庁の「応急手当WEB講習」もいつでも見られるわ」とモモセさんは言いました。
 石川さんは、「まずは、身近な場所でどこにAEDがあるかを確認しておくことが大切ですね」と言いながらスマホで調べ始めました。