2024年1月の健康便り —健康—

歯の健康について考えてみよう

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 大学2年生の佐々木遥さんは、最近、親知らずが生えてきました。奥歯まで磨くのに四苦八苦しています。歯磨きの時に歯ぐきから血が出ることもあり、大丈夫かなと心配になった佐々木さんは、健康管理センターの看護師モモセさんに相談することにしました。

 一生自分の歯で健康に過ごすためにはお口のケアが大切です。高校までは学校で歯科健診があり、定期的に歯の状態を確認する機会がありました。しかし、大学で歯科健診を行っている学校は多くないようです。
 大学生に増えるお口のトラブルに、外因性着色と歯周病があります。外因性着色は、茶渋やコーヒー、タバコなどの色素が歯の表面に沈着して起こります。歯周病は、歯を支える歯ぐき(歯肉)や歯の周りの骨が壊されていく病気です。歯に付着するプラークが原因で起こります。プラークは多くの細菌などからできており、歯に強くついているのでうがいだけでは落ちません。その細菌は歯ぐきの毛細血管から血中に入り、全身に影響を及ぼします。糖尿病、心臓血管疾患、低体重児出産、消化器系疾患、呼吸器系疾患などとも関連があると言われています。
 外因性着色の予防にはコーヒーを飲んだ直後にうがいするとよいでしょう。歯医者で表面を研磨して歯本来の色を取り戻すこともできます。タバコは着色の他、歯周病の原因にもなるので吸わないのが一番です。
 歯周病対策としては、鏡を見て歯ぐきをよく観察することが大切です。歯周病の手前の歯肉炎の場合、歯ぐきが赤い、腫れぼったい、出血するなどの症状が出ます。この時点では歯と歯ぐきの間にたまったプラークを歯磨きでしっかり除去すれば健康な状態に戻すことができます。歯肉炎が進行して歯周病になると、歯が動く、歯並びが変化する、歯ぐきが膿んで腫れる状態を繰り返す、歯ぐきが退化して歯が長くなる、口臭を感じるなどの症状がみられます。そうなったら治療が必要です。
 大学生は、虫歯や口臭、歯ぎしり、噛み締め、親知らずの痛み、歯並びなど、なにかトラブルを抱えていても、時間がない、面倒だ、どこの歯医者に行ったらよいかわからないなどの理由から、受診しない人も多いようです。症状があれば、早めに受診するのはもちろん、そうなる前の予防も大切です。毎日の歯磨きに加え、定期的に歯科健診を受けましょう。