2024年2月の健康便り —健康—
大学3年生の山口陽太さんは、後期試験の真っ只中なのに勉強に集中できず悩んでいます。目がかゆく、鼻水と鼻詰まりもひどくて口呼吸になるせいか、頭がぼーっとするのです。もしかして花粉症デビュー?とネットで調べると、症状がバッチリ当てはまりました。明日も試験なのに…、と焦る山口さんは、健康管理センターの看護師モモセさんに相談することにしました。
今年も2月から3月にかけてスギやヒノキの花粉が飛び始めます。日本気象協会の予測では花粉飛散量は例年よりやや多いとのこと。鼻水や鼻詰まり、目のかゆみに悩んでいる人は年々増え続け、花粉症は今や国民病とも言われるようになりました。
花粉症の治療には「薬物療法」、「アレルゲン免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。
薬物療法では、鼻水を抑える飲み薬や、鼻の炎症を抑える点鼻薬、目のかゆみや炎症を抑える点眼薬が用いられます。抗ヒスタミン薬には眠くなる副作用がありますが、最近は眠気の出にくい薬もあります。症状がひどくなってからだと薬の効果が出にくくなるため、花粉が飛ぶ2週間前、もしくは症状が出たらすぐに治療を開始するのが大切です。
アレルゲン免疫療法は、原因となるアレルゲンを少しずつ投与して、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を弱める治療です。花粉が多く飛ぶ季節には行えないため、通常5月頃から治療を開始します。治療は3~5年かかりますが、薬物療法で副作用がひどかったり、効果が得られなかったりした場合に行われます。長期にわたって症状を抑える効果が期待できます。
手術療法は、鼻の粘膜にレーザーを照射する方法などがあります。どのような治療を行うかは症状によって変わるので、医師とよく相談しましょう。
症状の原因となる花粉を回避する環境整備も重要です。花粉飛散情報を確認し、花粉の多い日や時間帯は外出を控えるなどしましょう。特に飛散量が多いのは、雨上がりの翌日や風の強い日、昼前後と日没後です。
服装の工夫としては、髪をまとめて帽子をかぶる、目を眼鏡で、鼻をマスクで、首をスカーフやマフラーで覆う、表面がツルツルした上着を着る、などがあります。家の中に花粉を持ち込まないよう玄関前で花粉を払い、帰宅後はすぐに着替えて顔や手を洗いましょう。鼻を生理食塩水で洗ったり、目を専用の洗浄液で洗ったりして鼻と目についた花粉を洗い流すのも効果的です。
モモセさんは、鼻のかみすぎで鼻の周りが赤くなった山口さんに、白色ワセリンと保湿ティッシュペーパーを差し出します。「鼻もガサガサで痛かったんです」と照れ笑いする山口さん。早速、すぐに診てもらえる耳鼻咽喉科が近くにないかとスマートフォンで探し始めました。