大学4年生の原口武志さんは、就職活動、卒論作成で慌ただしい日々を送っていました。そんなある日のこと、高校時代の友人に就職説明会で偶然再会しました。この出会いをきっかけに、原口さんは健康管理センターに足を運び相談室のキムラさんに相談することとなったのです。
- <軽い気持ちだったんです>
- 相談室を訪れた原口さんは、不安げな面持ちで当時の状況を語り始めました。就職説明会で再会した2人は、お互いの就活状況や卒論の話で盛り上がり意気投合。そして「お互い疲れることも多いけど、これ食べるとすっきりするよ♪」と、ミントタブレットのようなものを渡されたそうです。原口さんは特に気にすることもなく口にしたところ、今まで感じたことのない爽快感に包まれました。
- <「薬物所持で逮捕」のニュースが…>
- 翌朝、何気なくテレビを見ていると、友人の大学に所属する学生が薬物所持で逮捕されたとのニュースが目に入りました。薬物の特徴が昨日もらって口にしたタブレットと酷似しています。「残ったタブレットを自分が所持していることになってしまって、もうどうしたらいいか分からなくて…」原口さんは様々な不安に襲われ、涙が止まりません。
「よく話してくれましたね」とキムラさんは、原口さんの勇気ある相談を肯定的に受け止めました。その上で、違法薬物を初めて使うきっかけは、「友人からの勧めで断り切れず」や、興味本位で「どんな快楽があるのかを知りたくて」などが多く、身近に潜んでいることを伝えました。原口さんは、今後、得体の知れない物は「受け取らない」「使用しない」と約束しました。
- <不安なときは、迷わず相談を>
- 友人から渡されたタブレットが薬物かどうかは分かりません。ですが、不安が募る原口さんに、都道府県薬務課や精神保健福祉センターなど、秘密厳守で相談にのってもらえる窓口へ相談してみることをキムラさんは提案しました。
薬物乱用防止相談窓口一覧(厚生労働省ホームページ)
近年、違法薬物の所持・使用だけでなく、OD(オーバードーズ)など薬物の乱用も大きな社会問題となっており、危険は身近に潜んでいます。薬物使用を誘う人がいたら、きっぱりと断り、あなたの健康と人生を、そしてあなたを思う周囲の人を大切にしてください。