2025年7月の健康便り —メンタル—

アカデミックハラスメント ~教員からの嫌がらせを受けたら~

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 健康管理センター相談室のキムラさんのもとを訪ねてきたのは、大学4年生の橋本良太さん。困った様子で、卒業研究の課題について助教授からしつこく言われていることを話し始めました。

<助教授の言うことをきかないとどうなってしまうのか…>
 きっかけは、橋本さんの研究課題の資料が助教授の目に留まったことでした。助教授は以前から強引なところがあり、うわさでは自身の研究のために学生のアイデアを横取りすることもあったそうです。橋本さんは助教授から、「データが合っているか確認してあげるから、作成した資料を見せなさい」と会うたびに言われるようになりました。しかし、大学院生の先輩からは「絶対に見せない方がいいよ」とアドバイスされました。
 橋本さんは大学院への進学も決まっていましたが、「単位を落としても知らないよ」、「研究データを先生に共有しないようなやつが院にくるのか」とも言われ、不安な気持ちが強くなっていました。「断ることで、今やっている研究課題や院の進学に悪い影響が出てしまったらどうしよう…。でも、データを見せて、それが助教授の成果になったら、課題が提出できなくなって卒業もできなくなってしまう…」
<自分の将来を守るために>
 話を聴いたキムラさんは、教員が教育・研究の場において、権力や立場を利用して、学生の学習や研究活動の妨害、就職活動や進学において不利益な扱いをする「アカデミックハラスメント(アカハラ)」に該当する可能性があることを伝えました。アカハラに対する対応方法として、まずは助教授に対してしっかりと拒否をすること、いつ・どこで・どのようなことを言われたり、されたりしたかを記録しておくこと、大学にあるハラスメント相談窓口に相談してみることを伝えました。

 翌月、橋本さんはキムラさんのもとを訪ね、「助教授にきっぱりと断ってもどうにもならなかったので、研究室の仲間にも協力してもらって証拠を集めました。電話をするのは怖かったけど、ハラスメント相談窓口に相談したら対応してもらえました」とホッとしたように話しました。
 キムラさんは、「困りごとや悩みごとをどこに相談すればいいかわからないようなときは、今回のように、健康管理センターの相談室を利用してくれたのは本当によかったです。相談内容に合わせて、必要な窓口を案内することもできますから、また困ったことがあったら相談にきてくださいね」と笑顔で伝えました。