2025年8月の健康便り —メンタル—

予期せぬ妊娠 ~問題を自分たちだけで抱え込まない~

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 水野隆さんは大学1年生。高校のときからお付き合いしている同級生の彼女がいます。大学入学をきっかけに性的関係を持つようになりました。大学生活を頑張りながら、彼女のことを大切に思ってきた水野さんでしたが、ある日、彼女から妊娠を告げられました。それからというもの、今後の彼女との関係や妊娠のことで悩み、勉強にも身が入らなくなってしまいました。そんな中、大学の廊下に貼られたポスターで、健康管理センターに相談室があると知り、相談に行くことにしました。

<思いがけない彼女の妊娠>
 相談室のキムラさんのもとを訪れた水野さんは、浮かない表情で話し始めました。「避妊はしていたので、なんで妊娠したのかわかりません。彼女と一緒に乗り越えていきたいと思っていましたが、これまでの彼女とは変わってしまったかのように、ひどい言葉を投げかけてきたり、『中絶する費用を全額出して』と言ってきたりすることが増えました。どうしたらいいのでしょうか…」と、暗い表情でうつむきました。
<まずは彼女とのコミュニケーション>
 水野さんの思い悩む気持ちに寄り添いながら話を聞いたキムラさん。避妊の成功率は100%ではないこと、胎児の命と彼女の心身への影響も関わっているからこそ、妊娠をどうしていくかを彼女と話し合うことがまずは大事だと伝えました。
 「最近は、彼女と接するのも少し怖くて、ちゃんと話し合えていませんでした。確かに、彼女の気持ちを聞いて、まずは話し合わなくちゃいけないですよね。子どものこと、彼女のこと、両方しっかり考えて、勇気を出して週末に会ってみます」とうなずきながら、水野さんは心に決めたようでした。
<対応は二人だけで抱えこまず、相談を>
 予期しない妊娠では、女性はもちろん、突然知ることになった男性も、精神的、経済的負担などを抱える可能性があります。しかし、決して二人だけで悩まないでください。なるべく早く、病院や大学の相談室、保護者など、専門機関や身近な人に相談してほしいと、水野さんの背中を見つめながら思うキムラさんでした。