大学1年生の岩本凛さんは、入学以来SNSが気になり、いつも睡眠不足です。体は疲れているのに、寝る前に必ずSNSを見ないと不安や焦燥感が出てきて落ち着きません。ニュースでスマホ依存症の特集を見て、「眠れないことに悩んでいたけど、スマホ依存症になっているのかもしれない…」そう思うようになりました。
ふと学内のポスターを見て、自分のことを相談できる場所があると知り、岩本さんは健康管理センター相談室のキムラさんのもとを訪れました。
- <みんなに認められたくて…>
- 岩本さんは、「最近、SNSを見ているといつの間にか朝になっていることが多くて…」と話しだしました。SNSを始めたきっかけは、地元の友人たちと連絡を取り合うためでした。大学入学と同時に東京での一人暮らしが始まり、寂しい気持ちからSNSをよく見るようになりました。大学の友達ともSNSでつながり、その投稿を見ていると、キラキラした投稿ばかり。自分ももっといい感じの投稿がしたい…。
岩本さんはテーマパークや外食の様子を投稿するようになりました。地元や大学の友人から“いいね”がたくさんつき、自分が認められた感じがして嬉しくなりました。もっと“いいね”が欲しい…。もっと認められたい…。出かけるための費用を稼ぐために、夜間のアルバイトも始めました。バイトの後もみんながどんな投稿をしているのかが気になり、SNSから離れられなくなっている自分に気づいたのです。
- <認められたい気持ちはどこから?>
- キムラさんは、岩本さんが自分の状態をよくわかっていること、不安な気持ちになっていることを受け止め、「岩本さんの生活に影響が出ていることが心配ですね」と伝えました。岩本さんは自分を心配してくれる人がいることに安堵し、涙を流しました。そして、キムラさんと話す中で、人に認められたい気持ちはどこからきているのかを考えてみました。
思い返すと大学の勉強は難しくて試験の点数は悪く、友人とは浅い関係しか作れず、自己嫌悪に陥っていたことに気づいたのです。キムラさんは自分自身を受け入れることが最初の一歩であること、そして、本当にやりたいことに目を向けてみるよう伝えました。すると、岩本さんは「やりたいことリスト」を作りたいと思うようになりました。
キムラさんは、不眠が心配なので医療機関を受診することも検討してほしい、また悩んだときにはいつでも相談室に来てほしいと伝えると、「ここで悩みを話せてよかったです。また利用させてください」と言って、岩本さんは相談室を後にしました。