大学3年生の川口駿さんは、先輩から誘われて行き始めたパチンコに行く頻度が増えていることに悩んでいました。最近のニュースで、ギャンブルにはまる若者の特集を見る機会があり、「もしかしたら自分もそうなっているかも…」と感じ始めたのです。
でも、どうすればいいのか具体的には分からない状態でした。そんな中、大学のホームページで、学内に相談ができるところがあると知って、健康管理センター相談室のキムラさんのもとを訪れました。
- <やめたくてもやめられない>
- 川口さんはこれまでの状況を少しずつ話し始めました。最初は先輩から「ちょっと付き合えよ」と誘われて初めてやったパチンコで大勝ちしたのがきっかけでした。当たりが出た時の高揚感、それを演出する音楽や映像にこれまでになく気持ちが高まっていったのです。その日以来、日常生活で落ち込んだり、イライラしたりするとパチンコに興じるようになったとのこと。そして「あの日のようにまた勝ちたい。使った分以上に取り返したい」とどうしても思ってしまう、と言いました。
次第に毎日のようにパチンコ店に通うようになり、「今日はもうやめておこう…」と思っても、気付けば足が向いています。すでに実家からの仕送りを使い果たし、生活費はキャッシングしています。自分では止められない感覚に不安を感じるようになったのでした。
- <依存症の治療について>
- キムラさんは、ギャンブル依存症の説明を簡単に行い、川口さんが語った「やめたくてもやめられない状況」が、依存症の始まりであることを伝えました。今の状況は「ギャンブル依存症」の状態になっているかもしれない可能性があるので、まずは専門の病院を受診するよう勧めました。また、依存症には「自助グループ」という、同じ立場の人たちが集まって、自分の状況をそれぞれ語り、共有することで問題解決や克服を目指す場所があることも伝えました。
川口さんは、キムラさんに今の状況を話せたことに安心し、それだけでもずいぶん気持ちが楽になっていました。そして、病院の受診も前向きに考えたいと言って、相談室を後にしました。