大学3年生の西山茜さんは、歯並びが悪いことがコンプレックスです。鏡を見るたびにズレた前歯が気になり、笑うときに手で口元を隠してしまう癖があります。これから就活もあるし、自分に自信をつけたいと思った西山さんは、健康管理センターのモモセさんに相談することにしました。
- <歯科矯正のメリットとデメリット>
- 歯科矯正は見た目の改善だけでなく、健康面にもよい影響があります。歯並びが整うことで、歯みがきがしやすくなり、虫歯や歯周病の予防につながります。また、嚙み合わせがよくなることで、肩こりや頭痛の軽減、発音の改善なども期待できます。
一方で、矯正には費用も時間もかかります。特殊な病気による不正咬合を除き、矯正歯科治療は健康保険が適用されず、治療費は全額自己負担です。数十万~百万円前後かかることもあります。治療期間も2~3年程と長期にわたり、痛みや通院の手間もかかるため、覚悟が必要です。
- <矯正装置の種類>
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矯正装置にはいくつかの種類があり、大きく分けて「ワイヤー矯正(表側・裏側)」と「マウスピース矯正」があります。
- ワイヤー矯正:歯の表面にブラケットと金属製ワイヤーを固定する治療法。歯を大きく動かせるため、もっとも一般的で、幅広い症例に対応。装置が目立ちやすく、食事や歯磨きがしにくい、痛みが強い、粘膜への刺激があるなどが難点。
- マウスピース矯正:透明な樹脂製のマウスピースを使って歯を動かす治療法。装置が目立たず、費用も比較的安価。取り外し可能なぶん自己管理が重要で、適応できる症例が限られることも。
- <歯科医院の選びのポイント>
- 矯正治療は長期にわたるため、歯科医院選びはとても大切です。日本矯正歯科学会の認定医が在籍しているかどうか、複数の装置に対応しているか、設備が整っているか、費用や期間の説明が明確か、質問しやすい雰囲気かなどをよく確認しましょう。
「高額な医療契約なので、説明を受けたその場ですぐに契約せず、いったん考える時間をもらいましょう。支払いのこともあるので、保護者など大人によく相談してから契約書を交わすことも大切です」とモモセさん。
西山さんは「考えることがたくさんあるけれど、大学生で時間があるからこそ自分と向き合えるのかなと感じました。検討してみます」と、にっこり白い歯を見せました。