大学3年生の村上龍之介さんは、中学時代の同級生が一気飲みによる急性アルコール中毒で亡くなったという話を友人から聞きました。まさか同年代の友人がお酒を飲んで命を落とすなんて考えたこともなかった村上さん。部長を務めるサッカー部の忘年会を来週に控え、安全にお酒を飲む方法について、健康管理センターの看護師モモセさんに聞いてみることにしました。
- <急性アルコール中毒に要注意>
- クリスマスや忘年会、新年会など、お酒を飲む機会が増える年末年始。楽しい時間のはずが、飲みすぎや無理な飲酒によって命に関わるトラブルに発展することもあります。
特に注意したいのが「急性アルコール中毒」。これは短時間に大量のアルコールを摂取することで起こる危険な状態です。意識がなくなったり、呼吸が浅くなったり、最悪の場合は命を落とすこともあります。急性アルコール中毒による救急搬送は毎年この時期に最も多く、特に大学生を含む20歳代が多くなっています(東京消防庁)。
「アルコールハラスメント(アルハラ)」も深刻な問題です。飲酒を強要したり、一気飲みをさせたりする行為は、相手の意思を無視した危険な行動です。「飲めないのはノリが悪い」「とりあえず一杯」などの言葉が、知らず知らずのうちに人を傷つけているかもしれません。飲酒は個人の自由であり、強制されるものではないのです。
- <スロードリンクで安心、安全に>
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飲酒トラブルを防ぐためにお勧めしたいのがスロードリンクという考え方です。スロードリンクとは、ゆっくりと自分のペースでお酒を楽しむスタイルのこと。無理に飲まず、飲ませず、会話や食事を楽しみながら、心地よい時間を過ごすことができます。飲みすぎを防ぎ、体調を崩すリスクも減らせます。
なお、もしも飲み会の席で体調を崩した人がいたら、次のような対応をしましょう。
- 意識がない、呼びかけに反応しない場合はすぐに救急車を呼ぶ
- 嘔吐している場合は、横向きに寝かせて窒息を防ぐ
- 酔いつぶれた人を一人きりにせず、酔っていない人が付き添う
「お酒は飲まされるものではなく楽しむもの。飲めない人も、飲まない選択をする人も、安心して過ごせる場づくりが大切です」とモモセさん。村上さんは「まずは自分の体調や気分を大切にしつつ、部長として周囲にも配慮して、安全でみんなが楽しめる忘年会にします」と、決意を新たにしました。