2022年12月の健康便り —メンタル—

ストレス発散のはずが…、買い物依存の落とし穴

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 ある日の午後、友人に付き添われて三井梨花さんが健康管理センターを訪ねてきました。梨花さんが「ありがとう」と言うと、友人はセンターを後にしました。キムラさんは梨花さんを相談室の席に案内し、「ゆっくりでいいですよ。どんな相談でしょうか」と話を聞き始めます。
 梨花さんは体調がすぐれないようで、顔色も悪く見えました。大学2年生ですが、就活のことなどいろいろなストレスがあると話してくれます。そして、「少し話しにくいんですけど…、今、月初めなのに1,000円しか持ってないんです」と言うと泣き始めました。
 「入学後一人暮らしを始め、両親からの仕送りとアルバイト代でやりくりをしてきました。半年前、彼氏と別れたときに買い物でストレスを発散するようになったのです。特にアパレルショップで店員さんに褒めてもらえるのが嬉しくて、欲しくもないのに服を買ってしまいます。気が付けば食費にも手を出してしまい、最近では、食事は1日に1食しか食べていなくて…」とのこと。
 今日、センターにつれて来てくれた友人は、梨花さんが最近学食でご飯を食べないし、顔色も悪い様子を心配して理由を尋ね、「健康管理センターで相談してみよう」と言ってくれたのでした。

 キムラさんは話してくれたことに感謝し、これからどうしていけばいいかを話し合いました。家族関係は良好なので、まずは両親に相談して、食費を借りるよう提案しました。また、家計簿をつけて、お金を何にどれだけ使っているのかを記録し、使わなかった日には特別なマークを付ける方法を伝えました。
 「服を買う以外で梨花さんが気晴らしになることはありますか」ときくと、「自然の写真を撮るのが好きなんです。スマホで撮れるからタダだし」と笑顔で話してくれました。キムラさんも「いいですね。すぐにできそう」と言い、次の相談日の約束をしました。
 根本的な問題に目を背け、ストレス発散のために買い物をしているうちに買い物依存に陥ってしまうことは少なくありません。人に認められたい、買い物による爽快感、一時的にでも不安感を軽減したい、というような気持ちから、無意識に依存的になってしまいます。本人には自覚がないため、周りの人が先に気づくこともあります。買い物依存は、買った物への執着ではなく、買うという行動への依存です。欲しくもないのに、高価な物を、借金してでも、食費を削ってでも買ってしまう、いつも何か買いたいと思っている、という状態です。
 自分に、もしくは友人や家族にその傾向があると気づいたら、一人で悩まずに「学生生活無料健康相談テレホン」(※)に相談してみてはいかがでしょうか。

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