2012年10月の健康便り —メンタル—
食欲の秋、到来です。おいしいものをたくさん食べて、夏バテで疲れた体を元気にしたいところです。しかし、一人暮らしの大学生は、食生活が偏りがち。健康上の影響も心配ですが、今回は食生活と心の関係について考えてみましょう。
食生活には私たちの性格がよく現れるように思います。食べ物の好き嫌いが多い人は、人に対する選り好みも強く、人間関係でも受け入れ難いと感じることが多くて苦労していたりします。健康志向が強く、カロリーと栄養成分表ばかり気にしている人は、物事を理性的に処理できる反面、感覚的な喜びを忘れがちかもしれません。
また、拒食症や過食症と言われるほどではなくても、一人暮らしの大学生は、極端なダイエットや、寂しさを紛らわす食べ吐きが、なんとなく癖になっている場合が意外に多いようです。
食生活というものは一度パターン化してしまうと、変えたくてもなかなか変えられません。もちろん、強い意志で行動を変えられる人もいるでしょう。しかし、「食」にまつわる行動が、その人にとって特別な意味を持っているために、続けざるを得ない場合もあるようです。
例えば、食べ吐きの場合、心に空虚感を抱えていることがあります。その空虚感を埋めるようにひたすら食べてしまいます。しかし、見境なく食べるので、自分の体に害になるのではないかと不安になり、吐き出さずにはいられないようです。つまり、たくさん欲しがるけど、滋養として吸収することはできないのです。そうした自分の在り方を認識することで、食べ吐きという「食」にまつわる行動の問題は、満たされない空虚感という心の問題であることがわかります。
こうした理解は一例であって、「食」にまつわる行動は、人によって異なる意味合いを持っています。大切なのは、自己理解を深めることによって、食生活も変わることがある、ということです。もちろん食生活は人それぞれですから、すべての癖やこだわりを直さなければいけないわけではありません。好きでやっていることもあります。しかし、変えたいのに変えられないときには、心理療法を受けるなど、心の側からアプローチする道もあるのです。