2013年6月の健康便り —健康—

自転車事故にあってしまったら・・・

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 雨の多い季節となりました。自転車を利用する人にとっては悩ましい時期ですね。学生生活無料健康相談テレフォンには「自転車に乗っていたら、道路が濡れていて転倒してしまった。ケガの対処法を知りたい。」「自転車事故を起こした後、頭痛や気持ち悪さが続く。どうしたらよいか。」といった相談が入ります。

 自転車事故はその8割以上が対自動車です。そのため大ケガや死亡など重大事故につながることが多々あります。事故当時には軽いと思われていたケガでも、あとから頭痛や吐き気などの症状が治まらず、悩まされる人が少なくありません。

 交通事故で起こりやすい怪我のひとつが頚椎捻挫、いわゆるむちうち症です。これは事故の衝撃で首がむちのようにしなり、それにつれて重い頭が強く振られるために起こるくびの骨(頚椎)の関節損傷です。人により症状の感じ方は違いますが、早ければ事故直後から、遅くても翌日ごろには症状が現れることが多いようです。もっとも多い症状はうなじの痛みや熱感、頭重感、悪心、肩こりなどですが、そのほかにも背中や腕の痛み、痺れ、脱力感、めまい、耳鳴り、腰痛などを感じることもあります。ケガをした直後は頚部の固定や安静を保つことが大切です。

 治療を続けていてもなかなか症状が治まらない難治性のむちうち症の場合、脳脊髄液減少症と呼ばれる疾患と関連がある可能性が指摘されています。脳脊髄液減少症は脳と脊髄を循環する脳脊髄液が外傷などで漏れ出すことにより起こる疾患です。頭痛や吐き気、頚部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感など様々な不調を引き起こします。十分な安静や水分補給を行い、改善がないときには患者さん自身の血液を注入し漏れている部分を塞ぐブラッドパッチ療法が行われることもあります。むちうち症と脳脊髄液減少症との関連はまだはっきりわかっていませんが、症状が続くときは脳脊髄液減少症などの可能性も視野に入れ、脳神経外科に相談するのも一つの方法です。

 いずれにしても怪我をした後の対応が大切になります。もし事故にあってしまったら大したことがないからと済ませず、必ず整形外科などを受診するようにしてください。相手に怪我をさせてしまった場合でも同様です。また、警察へ連絡し交通事故証明書を発行してもらう、病院で診断書を取る、事故の相手の名前・住所・連絡先を確認するなど事後処理はきちんとしましょう。
 そしてなにより、傘差し運転はしない、携帯電話などでのながら運転はしないなど交通ルールを守り、事故を起こさないように気をつけましょう。

≪ 参考HP ≫