2020年6月の健康便り —健康—
無事就職活動を終えた4年の高橋ひとみさんが、健康管理センターに内定報告の電話をくれました。「大学生活もあと少し。社会人生活が始まる前にチャレンジしたいことをできるだけやっておこうと思います」と高橋さん。モモセさんは「就活頑張っていたものね。内定おめでとう! ところで、その後、歯の痛みは出ていない? 歯科健診には行っているかしら」と問いかけました。高橋さんは1年前に親知らずの痛みでセンターに駆け込み、モモセさんにお世話になったことを思い出しました。「あの時、歯医者からは抜歯するよう言われたけど…。やっぱり今、痛くなくても抜かなきゃいけないですか? 歯茎を切るって言われたから、怖くてずっと避けていたのですが」高橋さんは不安そうな表情を浮かべました。
痛みなどのトラブルが起きないと歯科へ行かない人も少なくありません。歯科健診は本当に必要なのでしょうか。
虫歯や歯周病などの歯科疾患は、進行すると歯の損失につながります。歯が抜けてしまうと食べにくさが生じるだけでなく、見栄えや発音などへの悪影響も懸念されます。また、歯周病は肥満やがん、骨粗しょう症、動脈硬化など、全身の健康状態の悪化にも関連があると言われています。歯科健診は、生活の質を守り、健康上のトラブルを未然に防ぐために大切だと言えるでしょう。一般的に歯科健診では、虫歯や歯茎のチェック、歯垢や歯石除去のほか、ブラッシング指導や歯科相談などをしてもらえます。
親知らずの生える時期は10歳代後半から20歳代前半。「親に知られることなく生えてくる」のが名前の由来です。親知らずは磨きにくいため、虫歯になりやすく、歯茎の炎症も起きやすくなります。生える向きにより他の歯並びに影響がでる場合もあり、抜歯を勧められることが多いようです。抜歯後、腫れや痛みでしばらく柔らかいものしか食べられない状態になることもあります。時間に余裕がある学生のうちに治療しておくのがお勧めです。若い時は歯が柔らかく抜きやすい点もメリットです。
モモセさんは「忙しくなってから痛い思いをするより、今のうちに抜いておくほうが安心よ」と声をかけました。「そうですね。仕事が始まると平日は歯医者へ行けなくなるだろうし、お休みもとりにくいですよね。怖いけど、歯医者さんに相談してみようかな」
高橋さんは意を決した声で電話を切りました。